3章・(4)-2 なぜ黒字なのに倒産してしまうのか?
・利益とお金は別のもの
では、このような「決算書上のお金」と「ほんとのお金」の差をそのままにしておいてよいのでしょうか。
もしかすると会社のなかで「キャッシュフローが大切だ」というフレーズを聞いたことがあるかもしれません。要するに、キャッシュフローとは現金(およびそれと同等のもの)です。決算書上の利益は、実際のお金の量と異なることがほとんど。それであれば、決算書上の利益を重視するよりも、結局のところお金がいくら残ったかを重視したほうがよいに決まっています。これが、「キャッシュフローが大切だ」の意味であり、それを指標とする会社運営のやり方が「キャッシュフロー経営」です。
- 利益重視経営……決算書上の利益を重視し、それの最大化を目論む。ただし、その利益は必ずしも実際の現金(キャッシュ)の増加につながらない
- キャッシュフロー経営……実際の現金(キャッシュ)の増減を第一に考え、それを指標とするもの。たとえ、利益が下がってしまっても現金(キャッシュ)を確保する
利益は一般のひとたちがもっとも気にするものです。それに銀行もお金を貸すときにチェックします。それに利益が出ずに赤字だと恥ずかしい、という経営者たちの意識もあるでしょう。
それにもちろん、反比例するわけではありませんから、「キャッシュフロー経営」といっても利益の確保と両方を目論むことが大半です。とはいえ、決算書上の利益ではなく、実際のお金の流れをちゃんと管理する「キャッシュフロー経営」ということが注目されていることを覚えておいてください。
仕入れの代金支払いが短く、販売の代金回収期間が長いところは、黒字倒産が起きがちです。その際は、現金(キャッシュ)が足りないという状況に陥ります。その場合、社長が会社の形態を現金商売に変えたり、仕入れ先に「支払いを遅延させてくれ」と侘びにまわったり。さまざまな努力が「払われ」ます。