4章・(1)-2 追加費用と総コスト曲線
・フリーになりやすい商品となりにくい商品と
そう考えると、Googleがなぜ無料で商品(=アプリケーション)を提供できているかがわかるでしょう。彼らは潤沢な開発者と無数のサーバーを有しているといわれます。それらは固定費です。しかし、彼らの変動費はフラットに近い伸びをしています。Gmailを100万人に提供しても、100万1人に提供しても、その追加コストはほとんどかかりません。
このように、追加コストがゼロになりやすいのはIT関連の会社の商品だということができます。作るのには莫大なコストがかかるかもしれません。でも、一度作ってしまえば、どれだけでも複製できるので、無料で提供することに支障がないのです。
- 無料で提供しやすい商品の例:ITサービスのように複製が容易で追加コストがほとんどかからないもの
ダイヤモンドを無料で提供し、気に入ってくれた人にもう一つのダイヤモンドを有料で買ってもらう、という商売は成り立つでしょうか。あり得るかもしれませんが、実際は難しいでしょうね。ダイヤモンドのような貴金属は追加コストがゼロにはならないため、その無料分提供分を取り返す商売が難しいだろうからです。
マクドナルドが実施した無料コーヒーは、コストが低いため可能だったのでしょう(約10円ほど)。しかし、やはり無料化の王様はIT関連の会社といえそうです。ITは物理的ではなく、電子的であることが、その無料化を推し進めています。
ITの強みは、情報の速さや保存容易性にだけあるのではなく、その追加コストのなさにあったというわけです。