3-(3)-3 ERP「ERP導入の前に」
自分の失敗例だけで、ERPやITツールの可能性を否定するわけではありません。ただ私が言いたいことは、ERP導入の仕方次第では業務改悪をもたらすということであり、業務のやり方が例外だらけでプロセス整備のなされていない領域に導入しても意味がないということだけです。
こういう当たり前のことが分からずに、システムを導入しただけで「全てが解決する」と考えることは根本的に間違っていたと思います。
まずは業務プロセスを整備すること。そして、現在の業務プロセスはERPに適合するのか、しないのか。しないのであれば、業務プロセスを変更することができるのか。といったことを入念に検討していかねばならなかったのです。
それに、ERP導入時はその時点の業務プロセスを見直す、いいきっかけにもなります。それを見直さず、バカな仕組みをそのままシステム化してしまったら、バカが加速するだけです。
業務をERPに合わせていくという考えも必要です。完全なシステムなどないのですから、各部門が勝手に要望を出していくと、結局は莫大な改造が必要になり、その結果できあがったシステムは以前より醜悪になっていることなどよくあることです。
「カラダ(業務)に服(ソフト)を合わせる」のではなく「服(ソフト)にカラダ(業務)を合わせる」という覚悟が必要になってきます。
私の例では、コスト低減目的で都度発注量を増やすのではなく、生涯トータルのボリュームを背景に、一度の発注数量に関わらず発注単価が下がるような交渉をすべきでした。それがそのERPのシステムに合ったやり方だったからです。