3章・(1)-2 お金は動的なもの

・今の1万円と将来の1万円

 

永遠に変わらないもの。愛でも恋でも。それを求める心は、さまざまな芸術作品になってきました。ただ、不変なものなどありません。人々の価値観も変わり続けます。そして、お金というものの価値も。

もしかすると、「当時の大卒初任給は2万円程度だった」などという話を聞いたことがあるかもしれません。お金がお金を生んで増殖し続けている世界に住んでいる私たちは、以前の1万円が今の1万円とは異なる、ということを感覚的に知っています。お金とは「静的なもの」ではありません。きわめて「動的なもの」です。

さきほど、1万円が利子3%で貸し出される例を見ました。この利子率3%の世界では、この1万円はどのように変化していくでしょうか。

  • 1年後:1万300円、2年後:1万609円、3年後:1万927円……

このように増えていきます。逆にいえば、3年後の1万927円は、今の価値にあわせれば1万円に過ぎないということです。

以前、どこかの外国の銀行で「1億円を預けて30年ほうっておいたら、なんと2億円になっていたんです!」と驚く預金者をテレビで見ました。何もしていないのにお金を倍にしてしまった人がいる。幼い私は驚きました。しかし、それはお金が増え続ける世界にあっては、何らおかしなことではありませんでした。そもそも30年前の1億円はいまの1億円ではなく、年率に換算しても2.3%とさほど高くありません。

  • 過去の1億円>現在の1億円>将来の1億円

現在の1億円は将来の1億円よりも価値があり、過去の1億円は現在の1億円よりも価値があったものです。

「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず」と鴨長明は詠いました。なるほど。お金の流れも絶えずして、しかも元の価値にあらず、というわけです。

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