5章・(1)-1 スピリチュアルブームと占いブームの裏で

キーワード「将来の不安」「不安産業」「解決策」「予防策」「洗脳されたい」

 

・将来を不安に感じたい私たち

 

人間は将来にたいして悲観的でしょうか。楽観的でしょうか。

もちろん人によります。ただ、基本的には悲観的なものです。私が幼い頃には「石油がもうなくなる」「1999年に世界は滅亡する」「核戦争で地球から人がいなくなる」と言われました。しかし、紆余曲折を経ても、社会全体では良い方向に向かい続けています。

でも、やっぱり人間は将来にたいして得もいえぬ不安を感じてしまうものです。そして、その人間の心理を利用した商売というものが存在します。不安に陥れる情報をたくさん流し「このままだと危ないですよ」「このままだと大変なことになりますよ」と煽り、人々を籠絡したあとに、自分の商品を販売する商売が「不安産業」です。この商売には「このままだと」という枕詞がつきまといます。

「このままだと病気になりますよ」「このままだと残されたご家族が路頭に迷いますよ」「このままだと不幸になりますよ」……いくつものバージョンがあり、そのあとに続く言葉は「だから、この健康法を学びなさい」「だから、この保険に加入しなさい」「だから、私の占いを信じなさい」です。

人はいつだって杖を求めています。転びそうになったときに支えてくれる杖、安心できる杖。これらの商売は、「転びますよ」と伝え、さっと杖を販売するものです。

  • 将来の不安を煽り、そのあとで商品を販売する一連の商売を「不安産業」と呼ぶ

過去であればまだしも、いまの世の中で、将来に完全な希望と楽観を持って生きることができる人などいません。それはいつの時代もそうであるものの、昨今のような先行きが不透明な時代に入ると、よりいっそう勢力を増します。かつて宗教がそうであったように、人間はそんなときに「見えない、自分の理解の及ばない圧倒的なもの」に救いを求めるものです。彼ら商売人は、その人間心理を上手く使っています。

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