2-(7)-2 調達・購買の課題とは何か「私の経験」

「お前って何も分かっていないんだな!!」

私がバイヤーというものを始めて半年経ったころ、ある飲み会のときです。私は当時のグループリーダーから罵倒されたことがあります。

「半年経ってみてどうだ?この仕事に慣れたか?」と課長は私に尋ねました。「ええ、色々分かってきた気がします。でも、まだ仕事を完全に任せられていない気もしています」と私は率直に答えましたが、この一言が隣で聞いていたグループリーダーをイラつかせたようなのですね。

「なんで、そう思う?」。グループリーダーは即座に訊いてきました。「ぼくの仕事をやってもらっていることがあるし」「じゃ、お前がやれよ」「いや、本当はやりたいんですけど」

単なる質問のようにみせかけて、実は私を詰問してくれていました。そこからは、矢継ぎ早の問い掛けです。

「じゃぁ、あの製品についてどれだけ知っている?」「どれだけ学んだ?」「お前から提案したいことってあるか?」「OC-3って何メガだ?」「ATM(Asynchronous Transfer Mode)のこと、理解しているか?」。単なるイジメでした。最後にグループリーダーは言うのです。

「全く分かってなお前!そんなんじゃ、仕事なんてできるはずないだろ!!」と。

そのグループリーダーは、設計部門が必ず最初に問い合わせしてくる人で、担当外の質問であっても「私に訊かないでくれ」とは一言もいわず的確にアドバイスをする人で、高速で仕事をこなす人でした。こういう人がいれば、他部門の誰も私になど訊いてくるはずがありませんね。下にいる人間たちには厳しく、結果だけを問う。私の例もその表れです。

私は、なんと良い指導者にめぐり会ったのでしょうか。これは皮肉ではありません。現在では、部下に対して厳しくしてしまうとすぐに仕事を放棄したり辞めてしまったりする社員が急増中ですから、あまりこのグループリーダーのような態度を取ることは難しくなってきているでしょう。でも、やってしまいましょう。最初から仕事のハードルを低くするのではなく、どれだけ高いレベルが必要かということを感じさせねばならないからです。部下からしても最初に仕事のハードルを高くしてもらうことは、その後の宝物となります。

そのころでしょうか。自分というものがいながら、自分の上に問い合わせがゆくということに、恥かしさや無念さやら様々な感情がゴッチャになって駆け巡っていました。「自分の存在意義」というとなんだか大袈裟です。でも、そういうことを考えるよいチャンスだったのは間違いありません。

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