2章・(5)-1 固定費、変動費とは何か?
キーワード「固定費」「変動費」「財務会計」「管理会計」
・固定費と変動費が管理会計のトビラを開ける
売上が落ち込んだ会社が突然赤字になる話をしました。そのようなニュースを見ていると、「過大な固定費が重荷になった」と聞くことがあります。その「固定費」とは何のことでしょうか。また、「固定費」というもの以外に何があるのでしょうか。
会社にかかるコストには、「固定費」と「変動費」の二種類があります。
- 固定費……生産や販売の大小に関わらず、かかってしまうコスト
- 変動費……生産や販売に応じてかかるコスト
固定費とは、文字通り「固定化したコスト」を指します。人件費や家賃、あるいは減価償却(これについてはのちほど説明します)、宣伝広告費、通信費、月額払いの各種料金などのことです。これらは、生産数量や販売数量が減ったとしても、それに比例させて急に減らすことはできませんよね。だから、この分は生産や販売にかかわりなく、必ずかかってしまうコストとして認識しておく必要があるのです。
では、変動費とは何でしょうか。固定費とは逆に、これも文字通り「変動的なコスト」を指します。材料費や部品費、運賃や消耗品などです。これは、生産や販売が少なくなれば減っていきます。もちろん、逆も然りです。
この二種類が売上げにたいしてかかってくるコストになります。前章でも説明した利益の計算式は、次のように分解できるわけです。
- 売上―費用=利益 → 売上―(固定費+変動費)=利益
ここで、「おやっ」と思った人がいるかもしれません。
- 疑問1:「会社の決算書を見たことがあるけれど、『固定費』『変動費』というものは見たことがない」
- 疑問2:「ウチの会社では給料が完全歩合制になっている。それでも、人件費は『固定費』なのだろうか」
こう疑問を持っていただけたら、それは原価への興味が湧いていることなのでしょう。