2章・はじめに~-2「給料を倍増するなんて簡単だ」
・売上げが伸びただけでは儲からないカラクリ
このような手口は一般的に「循環取引」と呼ばれています。会社ぐるみでやる場合は、外部に必要以上の売上げがあるかのように見せかける犯罪です。第三者に、その会社がたいへん伸びているように錯覚させてしまいます。社員が勝手に行っても、会社の信頼に傷がつく行為です。
その取引の中身を確認すれば、誰だってその内実を理解できます。しかし、多くの人は売上げがあがっていること=儲かっていること、と誤解しがちです。
彼の「循環取引」はたしかに極端な例であるものの、一つの教訓をくれます。それは、売上げが利益には必ずしも結びつかないという単純な事実です。彼ほど悪質ではないにせよ、売上げがあがっていても、損失を出している例はたくさんあります。
100円の商品を50円と赤字で設定して販売すれば、それはたくさん売れて売上げも増えるかもしれません。しかし、当たり前なことに、それと利益は結びつかないのです。多くの売上げを誇っていた会社が、いつの間にか赤字に陥っていくさまも、いくつも見てきました。
ただ、それと同時に、赤字としか思えない価格で販売しても、なぜか利益を増やしている会社もあります。それはなぜでしょうか。
それは、商品のコストにヒミツがありました。また、利益を出すための仕掛けがいくつも施されていたのです。私は現場のバイヤーという立場から、商売の森の中をさまよい歩き、「利益」と「コスト」という形のないものを、なんとかつかまえようとしてきました。
- 利益とはどのように創出されるのか
- コストはどのような発生するのか
- 利益を伸ばすためには、コストを抑えるためには、どうすればいいのか
これらをできるだけわかりやすく、みなさんに説明していきます。