4章・はじめに~-1「マクドナルドの無料コーヒーが新たなお金の稼ぎ方を教えてくれた」

・無料から商売をはじめたら

 

これから新たな稼ぎ方についての話をします。

2009年の夏。マクドナルドは一部の地域で、コーヒーを無料で配りました。配布数量は限定されていたものの、これによりマクドナルドは客数を伸ばし、付随して利益をあげることにも成功したのです。一部報道では、それらの努力により上半期の経常利益が25%も上がったとのことでした。

これまでの典型的な商売のモデルでは、宣伝広告費をかけて見込み客を集め、そのなかから商品を買ってくれる人を探す、というのが定石とされていました。見込み客を集めるのがマーケティングで、お客と商品の契約を結ぶのが営業マンの役割というわけです。しかし、マクドナルドが行ったモデルはやや異なります。まず、商品をタダで味わってもらう。そして、その商品を気に入った人がいてくれたら、追加でハンバーガーなどを注文してもらうことにしたのです。客引きは宣伝広告ではなく、商品そのもの。商品自体を無料で配布することで客層を広げ、その大きな母数のなかから、お金を払ってくれる「ほんとうのお客」を見つける。これが図らずもマクドナルドが実践した「新たな稼ぎ方」でした。

この話をするときに私がまっさきに思い出すのは、Googleです。Gmailにカレンダー、リーダー、ドキュメント。私はGoogleが提供するそれらのサービスを毎日活用しており、Googleがこれらのサービスを止めてしまうと、それは私という個人の活動も止まることを意味しています。Googleはそれらすべてを無料で提供し、利用者を増やし続け、そのなかからお金を払ってくれる「ファン」から莫大なお金を得ているのです(広告費等)。私もGoogleの検索サイトに有料で宣伝を載せていますし、もし無料のサービスだって、ある日Googleが「一ヶ月の使用料を1万円にしました」と宣言されたら、私は喜んで支払うでしょう。

ここにも、「まずは無料で、そして気に入ってくれた人は有料の追加サービスを」という考えが流れています。まずは、「なんでも無料」なのです。

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