2章・(1)-1「売り上げ」とは何か?

キーワード「売上げ」「現金」「黒字倒産」

 

・一人の女性が叫ぶ理由

 

入り口から目的地に向かって歩くと、大声で叫んでいる女性を目にしました。

これも、今年に限ったことではありません。それは、確定申告のとき、私が毎年見る光景でした。確定申告とは、サラリーマンでいえば、本業以外に副収入があったり、利子や賃貸料などの所得があったりする人が、税務署に書類を提出し、その分の税金を支払うことです(あるいは支払いすぎた税金を戻すためにも行います)。

大声で叫んでいる女性は、日ごろまともな帳簿もつけていないために、売上げや利益も計算しておらず、どれが経費になるかわからないため、一から職員に訊いて申告書類を作っていたのです。自営業者の少なからぬ人たちは、このような状況ですから、税金の支払い時期になって、「こんなに支払うべき理由はない」と怒っているのでした。

サラリーマンをずっと続けていると、自分の売上げ(=給料)も正確に把握しておらず、費用(=税金等)もいくらかかっているかに無頓着な人もいます。読者のどの程度が、自分の地域の税務署の場所を知っているでしょうか。しかし、私が見た女性も、その点では同じかもしれません。彼女が持っていたノート――、おそらくその年の売上げを記録したものだったのでしょうか――、と紙袋に入った束――、おそらく領収書の類でしょう――、をやっと今から計算しようとしていたのですから。

ここで、教科書的な話をするならば、彼女の売上げは

  • 売上げ=商品を販売した単価×販売した数量

ということになります。それは会社であっても同じことです。それが彼女のノートから明らかになるのでしょう。

ただ、ここで一つの仮定を設けてみます。彼女がかなりの役者で、何も知らないフリをしながら、そのノートには売上げをかなり少なめに記載していたらどうなるでしょう。それであっても、その分少なく、申告書類には記載されるはずです。

サラリーマンをやっていると、売上げとは操作できない、なにやら不変のものであるという感覚になります。ただ、この売上げというものは、「商品を販売した単価×販売した数量」を会社や個人が、自ら計算し、それを決算書や申告書類に記載するものでしかありません。もちろん、おかしなものは調査され、悪質なものは罰を受けます。会社であれば、そんな不正がないように最新の注意を払っているのが普通です。ただ、それであっても、その売上げ自体は、基本的に善意を前提としていることを強調しておきたいと思います。

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