1章・はじめに~-2「97%のお金の残し方」
・商売を表現する美しき式
商売がどのような形であれ、次の式がすべてを表現しています。
- 売上―費用=利益
というものです。まずは商品を考える、作る。そしてそれを売る。そこからかかった費用を差し引き、残ったものが利益になる。こんな簡単な式です。
ここから簡単な事実が導かれます。この世の勝者は、「たくさん売り上げる人たち」か「できるだけ費用を抑える人たち」であるということです。思い出してみてください。これまで、商売で名を上げた人たちは、たくさん売れるものを作った人、あるいはたくさん売る実力があった人。もしくは、徹底的な節約により、費用を最小にした人です。それは、一人の人間にもあてはまります。給料をたくさんもらうか、たくさん稼ぐ、あるいは生活費をうんと抑えている人が「お金持ち」になっているからです。
私に浮かんできた疑問の一つ目は、「なぜ、10万円のテレビの材料は5万円しかかかっていないのに、なぜ会社は赤字なのだろう」ということでした。それは、まさに二つ目の「それにしても、会社は赤字なのに、これだけの数の社員によくあれだけの給料を支払っているな」という疑問につながっていました。普通、原価というと材料だけのことを思い浮かべます。しかし、それは正しくありません。費用とは、人件費もかかり、土地代や、設備の費用もかかり、さまざまだからです。材料費を販売価格から差し引いて計算したものが、まるまる残るわけではありません。
潰れてしまったレストランも、3%しか利益を残せない会社も、材料費以外の膨大な費用=コストがかかっています。たとえば飲食業では、3割の材料費でも少しの利益を出すのがやっとです。それは、費用構造にカラクリがあります。製造業でも、5割の材料費でもほとんど利益を残せていないのが現状です。
私はその後、自分で作った商品を売り、かつ原価についてのさまざまな勉強をしてきました。97%を使っている会社が、どうやってその多くを使わずに利益として残すことができるのか。
それは若い私が自分に課した、必然のような問いだったのです。