1章・はじめに~-1「97%のお金の残し方」

・お金の97%は浪費されている

人間の脳の97%は使われていません。よくそう言われます。

しかし、商売においては逆のことが起きていることをご存知でしょうか。多くの中小企業では、売上のうち3%しか利益として残せていません。つまり、97%はコストとして使ってしまっているのです。

私はかつての勤務企業は、家電を生産しているメーカー。そこでコストを計算したり、生産に使用する部品などの調達を担当したりしていました。たとえばテレビは、販売価格の5割程度の材料しか使っていません。だけど、私の会社は赤字でした。

会社で働いていると、やや矛盾するような、それでいてあとで理解できた、二つの疑問が若い私の頭に浮かんできたのです。

  • 「なぜ、10万円のテレビの材料は5万円しかかかっていないのに、なぜ会社は赤字なのだろう」
  • 「それにしても、会社は赤字なのに、これだけの数の社員によくあれだけの給料を支払っているな」

そんな疑問でした。同じような疑問をもっている方は多いかもしれません。また、あるとき、レストランの料理の材料代は3割程度だと聞いたことがあります。でも、おかしなことに、それだけ低い原価なのに、多くのレストランが潰れては違う店に代わっていました。頑張って黒字になっている会社も2、3%の利益を出すのがやっとです。

人間の脳は3%しか使われていないのに、商売ではいつの間にか97%も使ってしまっているらしい。それはなぜか。社会というところに出た私に課された最初の宿題でした。

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