4章・(3)-1 ケータイ小説とブログ本のビジネスモデル~なぜ新聞はタダで読めるようになったのか
キーワード「ブログ本」「ケータイ小説」「新聞の無料化」「お気に入り」
・無料なのに買う人たち
「バカでも買わないよ」
そう言っていた人のことを思い出します。ある有名なアイドルのBlogが書籍化したときのことでした。その人は言うには、「無料で読めるBlogなのに、それを千数百円で売れるはずがない」。しかし、結果は多くの人に受け入れられ、「Blog本」というブームのきっかけになりました。
いや、その人のコメントは半分正しかったのだと思います。多くの人は無料で読んだだけで、書籍を買おうとまではしませんでした。しかし、その人が忘れていたのは、無料Blogにより無数の購読者がいたことです。たしかに大半の人は買わなかったかもしれません。でも、その数%でも、莫大な数になります。彼らが買い求め、さらにそのブームによりBlog自体を知らなかった人に伝播していった、というわけです。
ケータイ小説も同じようなことを言う人がいました。しかし、ケータイ小説のいくつかは予想に反して大ベストセラーとなり映画化されたものもありました。これも同じく、まずは無料で読ませることにより、客層を広げる試みだったのです。若年層でも、年配者でも、「手元に紙媒体として保有しておきたい」という人たちは存在します。データだけではなく、紙という物質でふたたび読みたいという願望は理解できるものです。
さきほどのアーティストの例と同じく、このプロセスを因数分解すると、次のようになります。
- 無料で公開することにより、有料時以上の潜在的客層を広める
- その中で気に入ってもらった人に、旧来メディア(紙の本)にお金を払ってもらう
- それを販売することで話題にすることで、さらにたくさんの客層をつかむ
- これまでの有料時よりも多くの利益を稼ぐ
ただし、これにも問題は内在しています。