4章・(3)-2 ケータイ小説とブログ本のビジネスモデル~なぜ新聞はタダで読めるようになったのか
・新聞と無料化の将来
私は意図的に成功例をとりあげることで、(1)と(2)をつなげました。考えて分かるとおり、商売ではお客が支払ってくれた金額以上の稼ぎを得ることはできません。どんなに無料で広めたとしても、そこから先にお金を支払ってくれる人を見つけることができなければ、まったく儲からないのです。当たり前でしょう。
このところ、海外を含めて新聞の無料化が進んでいます。日本でも、新聞社によっては記事の大半をネット上で無料公開しているところもあるくらいです。この新聞社の戦略も同じように解釈ができます。
- 【事象】新聞が売れなくなった
- 【対策】無料でもいいから公開して客層を広めることにした
- 【目標】有料版(旧来の紙の新聞)を購読してくれる人を増やす、あるいはネット上の有料記事を購入してくれる人を増やす
しかし、現在の新聞がつきあたっている問題は、まさに(2)と(3)のつながりです。一般的に出版社と比べて、大手新聞社の固定費はたいへん大きい。そのために、無料でたとえ魅力を感じた読者がいたとしても、そこから有料版に移行してくれる比率が低いと、とてもペイしないのです。とはいえ、このままではジリ貧に陥るだけ。でも、無料化しても、利益をあげるほどの読者がつかめない。そんなジレンマにがんじがらめにされています。
現在は海外の新聞社で潰れるところもでてきました。無料版の記事を読むだけで満足してしまう読者がけっこういるためです。しかし、無料版の記事を少なくしても、他社のホームページに流れていく結果になります。
無料化にはこのような深刻な問題があることも覚えておきましょう。