2章・(3)-1 知らないと会社で相手にされない「売上総利益」「営業利益」「経常利益」といった用語の意味
キーワード「売上総利益(粗利益)」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」
・キッカケは偶然に
かつて中国では、デパートの店員は、お客に商品を販売したあとに、悔しがるそぶりをすることが常でした。
なぜでしょうか。中国では値引き交渉のあとに売買が成立します。お客は当然うんと値切りたい。店側はできるだけ高値で売りたい。だからこそ、両者が交渉を重ね、売買を行ったあとには、店側はお客にトクをさせたと思わせるために悔しがることが「礼儀」だった、というわけです。
相手が利益を削った状態で商品を買うこと。これは人々の喜びかもしれません。
私は社会人になってバイヤーという仕事に就きました。いろいろな企業から商品を買い集めることが仕事です。私は最初に取引先の決算書を読むやり方を教わりました。とはいっても、難しいことではありません。「経常利益」の欄を見て、「プラスだったら、『もっと安くしろ』と言え」というわけです。当時、この「ケイツネ」と呼ばれていた数字を見ていたことを思い出します。
しかし、あるとき取引先から「経常利益はたしかにプラスだが、営業利益がマイナスだから、商品の値下げはできません」と言われました。私は、そもそもの意味を理解していなかったので、反論などできるはずはありません。
人の学びは、いつだって些細な気づきから始まります。私が利益や原価について学び始めたのも、この一言がきっかけです。