2章・(4)-2 原価率とは?

・原価はいつも未知なもの

 

まず、会社が希望する販売価格をつけたからといっても、その価格通りに売れるとは限りません。売れなければ、前章で見た通り、値下げしてでも売らなければ1円にもなりませんからね。そこで、原価率はそこでまず変化します

  • 想定価格原価率:商品にかかるコスト÷商品の「希望」販売価格
  • 実際価格原価率:商品にかかるコスト÷商品の「実際」販売価格

もちろん、想定していた価格よりも高く売れることもあります。その際は、原価率が下がり、利益はあがるでしょう。逆の場合は、当然ながら利益が下がります。

次に、販売価格どころか、販売数量も思い通りにいかない場合です。

  • 想定数量原価率:商品にかかる「想定」コスト÷商品の販売価格
  • 実際数量原価率:商品にかかる「実際」コスト÷商品の販売価格

なぜ、数量によってコストが変わるなどということが起きるのでしょうか。たとえば、営業マンの人件費が、100個売れた場合と、1個しか売れなかった場合では、商品一つにかかるコストが変わってくるからです。ただし、それは「固定費」と「変動費」という考え方が必要になってきますので、それは次節で説明します。

また、時期によっては仕入れる材料が値上がりしたり、あるいは商品をつくる工場で不良品ばかりが出てしまったりと、その原価率を変化させる要因はさまざまです。もともと想定していた原価率ぴったりになることはなかなかありません。

しかし、と私は思うのです。

その原価率の「想定できなさ」が、多くの人に知恵や工夫を要求してきました。改善するための努力を必要としたのです。原価率の変動の可変性こそが、商売に驚きと哀しみをもたらすと同時に、それに立ち向かう喜びも与えてきました。私は思います。聖書に惹かれた人たちと同様に、商売という魔力に惹かれた人たちは、そんなあまのじゃくな「原価率」に魅せられてきたのではなかったのか、と。

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