1-(7)-1 コスト低減の必要性<基礎知識>(調達・購買とは何をするのか)
調達・購買部門の最も重要な業務の一つにコスト低減活動があります。ご存知の通り、調達品の価格を下げることです。
商売の基本は「できるだけ安く仕入れて、高く売る」というものです。調達・購買部門はこの仕入れを担当し自社に貢献します。
コスト低減による自社への影響は、①収益性の改善 ②材料値上げなどへの環境変化対応力の向上 ③キャッシュフローの改善 ④社会的評価の向上 といった形で現れてきます。
よく表現されるのですが、下記のような企業があったとします。
売上 | 材料費 | その他費用 | 利益 | 営業利益率 |
100 | 70 | 20 | 10 | 10% |
100を売り、10の利益を生む企業です。この企業が利益をより伸ばそうとすればどうすればよいでしょうか?もちろん、売上高を伸ばすことは難しいかもしれない。その他費用はギリギリまで詰めている、となると材料費を削減するしかありません。
では、ここで材料費を50に削減したとします。その他の数字が同一とするならば、利益は30、営業利益率は30%に向上します。この利益額は、以前のレベルであれば、300の売上がなければ達成できない数値です。
もちろん、一般的には売価が下がってゆくでしょうから単純な数式は成り立ちません。ですが、自社の売価が下がってしまうがゆえに、利益の確保・向上のためにコスト低減活動が必要となってくるのです。
自社の販売売価の下落や材料などの市況変化に加え、キャッシュフロー観点からの経営期待の高まり。これらにコスト低減を通じて自社の体質を強化することで、社会的評価の向上につながっていくのです。