1-(7)-2 コスト低減の必要性「私の経験」(調達・購買とは何をするのか)

「やる気がなくなります!」

後輩バイヤーがこうボヤいているのを聞きました。つい一年前まではやる気満々だった彼が、いまでは「こんな仕事やっていられない」というのです。

話はこういうことでした。彼は、データセンター内のパソコンやサーバーを調達する担当者でした。もともとIT関係に興味があったこともあり、当初は楽しかったようです。

スペックについても設計者と会話ができ、簡単な仕様の打ち合わせであれば自分一人でできるレベルになっていました。そんな彼が、今ではやる気がない、と。

聞いてみれば、こういうことでした。

「前期に高いコスト低減目標を与えられて、やっと達成したんです。色々なサプライヤーに回ったり、交渉したり。でも、全く意味がありませんでした」

「なんで?コストが安くなったんだったら、効果はあるじゃない?」、私は訊きました。

「せっかく下がったのに、(自社の)営業が客先への売価を下げているんですよ。『原価が下がったんだから、安く売れる』と思ったんでしょうね。また、コスト低減要請ですよ」と。

想像するに、同じようなボヤキを持っている方はたくさんおられるのではないでしょうか。実際、私がバイヤーの方々とお会いするときに、「せっかくコストが下がっても、営業部門は安く売っちゃうんで、いつまで経ってもコスト低減をやらなきゃならないんですよ」という嘆きを聞くことがよくあります。

営業部門に対して、調達・購買部門は「もっと高く売れよ。利益出せ」と思っています。調達・購買部門に対して、営業部門は「もっと安く買ってこいよ。利益出ないじゃないか」と思っています。

おそらくこの構図はどこにでもあるものでしょう。

「10円コストを下げることができたら、それがそのまま自社の利益になる。こんな素晴らしいことはないと調達部門を希望しました。でも、実際は営業部門が安く売ってきてしまったことの尻拭いじゃないですか」と前述の後輩バイヤーは言っていました。

では、バイヤーとしてはどう考えるべきでしょうか?

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