2章・(6)-1 損益分岐点とは何か?
キーワード「売上線」「変動費率」「総コスト線」「損益分岐点」
・あの点を超えて
会社とは、どれくらいの売上げで黒字になるのでしょうか。
グラフを見てください。縦軸には「コスト」で、横軸に「売上高」とあります。縦軸と横軸をちょうど半分に割ろうとする45度の線が「売上線」です。それにたいして、もう一つ引かれた線が「総コスト線」で、切片が「固定費」、傾きが「変動費率」を指します。「変動費率」とは、たとえば1万円の商品のなかに、変動費がいくら入っているかの比率です。その例で、5千円だとすると、変動費率は50%になります。
どんなに商品が売れなかったとしても、固定費はかかりましたよね。だから、売上がゼロのときも、総コスト線の切片は固定費の高さ分必要です。そこから、売上に応じて変動費がかかっていきます。
すると、売上線と総コスト線が交わるところがあるはずです。これがあの有名な「損益分岐点」。この交点の売上が、ちょっと赤字と黒字のトントンになるところです。
- 損益分岐点……赤字と黒字の境目の売上高のこと
売上と総コストがちょうど同じなのですから、差し引きゼロになります。そこから右のところは黒字、左のところは赤字になるというわけです。
これをもっと丁寧に見ていきましょう。会社はまず固定費をかけて商売を始めます。人件費やら土地、設備投資もろもろ。それが会社にのしかかります。そして商品を作り、あるいは仕入れ、いよいよ販売を開始。ただ、売上げを上げていっても、最初のころは、その固定費の回収を行っているようなものです。売上げのすべてで固定費を回収できるわけではありません。商品の生産に応じて変動費がかかりますから、価格から変動費を引いた分でやっと固定費分を賄います。
そこから努力を重ね、やっと固定費を回収し終わる高みに到着です。ここが、「損益分岐点」。それ以降は、売れば売るほど、儲けが拡大していきます。