3章・(6)-1 金利でお金を稼ぐ

キーワード「金利差」「利子率」「職業の貴賎」

 

・カンタンに金持ちになる方法

 

一年で大金持ちになる方法があります。

かつてのオーストラリアドルのように預けていれば5%の利子がつく国があるのをご存知でしょうか。日本で、利子2%ほどでお金を借りることができれば、差額の3%が稼げます。もし1年で1億円を稼ぎたければ、33億円ほどを借りてみましょう。それを5%の利子がつく国で預けるだけで働かずに生活ができます。実際に、FXという取引を活用してそのような金利差を利用して一夜のうちにお金持ちになった人が続出しました(ご興味のある方はFXというものを調べてください)。

でも少し考えれば、この取引がかなり危ないことがわかります。というのも、この稼ぎ方は為替が不変であることを前提としているからです。為替が変わらなければ、このやり方で儲けることができるでしょう。でも、もし円高になってしまえば、とたんにその利益は消えてしまいます。むしろ、ソンをすることもあるでしょう。地域による金利差を使って稼ごうと思えば、それは多くの情報を必要とします。

ニュースを見ている人であれば、「日本の円を買って、他国通貨で運営する『円キャリートレード』がさかんだ」というフレーズを聞いたことがあるかもしれません。これは、金利(ようするに借りて支払うべき利子のことです)の低い「円」を使って、金利の高い通貨に投資することで儲けようとするものです。日本はずっと低い金利を政策としていますから、他国の人たちに使われていました。

  • しかし、この金利差という考え方。これは世の中の商売の基本です。

この章では、銀行がお金を貸すことで利益を得、その一部を預金者に返還するモデルを説明しました。それは、まさに金利差を利用した手法そのものです。なぜなら、預金者は、銀行が得た利子収入よりも大きなものを望んでいません。他の銀行が多額な利子を保証しているのであれば事態は異なります。ただ、どの銀行もそれほどの利子率を提供しておらず、たいてい自銀行が得る利子率よりも、預金者に支払う利子率が低いものです。そうでなければ、商売として成り立ちませんからね。

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