3章・(5)-2 商売における「お金」とは何か?

・お金はとめずに循環させるもの

 

「お金とは血液のようなものだ」。この血液という表現はなかなか真実を言い当てているところがあります。商売において各プロセスで重要な役割を果たすのがお金です。商売では、「元出」から商品を生み出し、販売して出た「儲け」をもとに「税金」を支払い、さらに残れば元出を貸してくれた人に「配当」として返すか、あるいは内部に「留保」します。これらすべてに使われるのがお金です。

  • 元出……「負債」「資本金」とも呼ばれるものです。事務所を借りたり、社員を雇ったり、仕入れ商品を買ったりします
  • 儲け……繰り返し説明した通り、「売上げ―費用」で表現されるものです
  • 税金……利益から計算され、国に収めるものです
  • 配当……税金を支払ったあとに元出を出してくれた人にお返しするものです
  • 留保……配当の残り、あるいは配当せずに会社内部に残しておくものです

説明を加えると、銀行などから借りた分の利子は費用として計上します。ですから、「配当」とは株主にお返しするものです。イメージとして「借金は悪」だと思っている人がいます。ですが、株主のみからお金を集めてしまえば、配当が高くなり、さらに経営に口出しまでされるため、むしろ会社はあまりお金集めの手段として好みません。

さきほど、黒字倒産のような怖い事象を説明しました。いつお金がなくなってしまうか不安ですよね。ただ、だからといって会社の金庫にお金をたくさん貯めておくこと(「留保」)は許されません。それは、株主から見れば、「自分たちのお金を遊ばせている」ことと同義だからです。銀行だったら利子さえ払えばいいのに、株主は高い配当を要求します。だから、お金は金庫を飛び出し、常に商売のためにぐるぐると使われなければいけません。

黒字倒産があるからお金は持っておきたい。でも、そうすると株主の期待に応えられない。商売とはかくも難しいものなのです。

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