1章・(8)-2 働いてお金を稼ぐことも「価格差」の利用

・代替手段と対決するサラリーマン

 

ただし、この仮定には若干の無理があります。誰もが3億円を持っているわけではありませんし、誰もが商売で大成できるわけでもありません。私も含めた大半の人は、自分自身で働くことによっていくらかの稼ぎを得ます。無意識でもあなたはさまざまな手段を比較のうえ、現在の稼ぎ方を決定しているはずです。

それは個人だけではありません。個人と同じく、会社もどのような手段で稼ぐことが最適かを考えています。あなたを雇っているのは、さまざまな計算の結果です。やや機械的にいうと、いくつかの手段のなかから、あなたを雇うことにより商売でより儲けを出そうと決定しています。

  • 機械による生産手段との比較:あなたを雇うのと、機械を導入するのと、どちらが安上がりかを比較
  • 他の労働者コストとの比較:あなたを雇うのと、他の労働者を雇うのと、どちらが安上がりかを比較
  • 創出利益とコストの比較:あなたを雇うことによって発生するコストと、もたらされる利益の比較

それぞれの比較によって、「安上がり」なあなたが選ばれたわけです。ここに、もう一つの「価格差」が生じます。つまり、あなたの労働単価が他の手段より高ければ、そもそも雇われるということはなく、労働とは常に「価格差」を販売するということです。

ここにサラリーマンが「俺は働き分だけの給料をもらっていない」と愚痴ってしまう必然があります。サラリーマンの給料とは、会社側からすれば常に「価格差」をもったものでなければいけないからです。稼いだ分以下の給料しかもたらされない、というのは会社側からすれば当然としかいえません。

残念ながらそれは、会社が商売の世界にどっぷり浸かっている証拠なのです。

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