1-(4)-2 調達・購買の「あるべき姿」とは何か「私の経験」(調達・購買とは何をするのか)

「無理だって言ってこい!!」

かつて私は非常に短納期の案件ばかりを担当したことがあります。もともとリードタイム(調達期間)が2ヶ月くらい必要な部品に対して、1ヶ月半くらいで納入してほしいという要求ばかりでした。いや、半月ほどの調整ならばなんとかなります。しかし、時には2週間で納入してほしい、という要求がきたこともあります。

当然、サプライヤーにはお願いを繰り返します。毎日毎日サプライヤーと進捗管理のために打ち合わせし、こっちは出荷できるとか、こっちはもうちょっとかかりそうだから、代わりにこちらの製品の生産を開始しよう、とか。そういう会議ばかりをやっていました。

当然、疲れます。営業マンもよく付き合ってくれていました。

そういうときに「明日、どうしても納入してほしいものがある」という依頼が舞い込みました。通常2ヶ月かかるものを一日では絶対に無理です。

しかし、たまたま運がよくその部品はサプライヤーの倉庫にありました。このことを上司に報告すると、安心してくれたのですが、同時に「今回は救われたが、こういうことを承諾すると社内が調子に乗ってしまう。わざと『今回は無理だ』と言って来い」と命じられました。

そして、「どうしてもお願いします、と頭を下げてきたら納入してやれ」と。私はなんだか複雑な気持ちになったことを覚えています。

実のところ、このような光景は少なくないのではないでしょうか。無理な要求納期に対して、生産部門と調達・購買部門がお互いに不平不満を言いあっていることをよく聞きます。また、コストに関しては「もっと安く買ってこい」と言う営業部門と「客にもっと高く売ってこい」と言う調達・購買部門が不毛な論争を繰り広げています。また、仕様に関しては、設計部門と・・・止めましょう。私が言いたかったのは、調達・購買部門の本来のあるべき姿から言えば、このような喧嘩がいかに無意味であるかということです。もっと将来につながる施策を全部門の協力の下に推し進めて行かねばならないのではないか、ということです。

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