1章・(6)-2 市場による「価格差」を利用する

・市場価格差を利用するネット販売業者たち

 

これは、世界規模の話ばかりではありません。もっと単純な話もあります。最近では、多くの家電がインターネットで最安値の店を検索できるようになりました。その価格は、身近な量販店で買うよりも安価なことがほとんどです。なぜネット販売の店が商品を安くできるのか。それは固定費に関わる問題で、のちの節で説明します。ここでは、国内であれ、多くの価格差が存在することに注目しておきましょう。

かつては、地方のディスカウントショップでは、「ディスカウント」といいながら、まだ都市部の価格よりも高値で販売されていることがありました。その意味では、ネット販売業者は地方のお客に利益をもたらした、ということができます。ネット販売業者は、都市部と地方という、価格差のある二つの市場を埋めることに成功したわけです。

リアル家電量販店では、値引き交渉を行っても1万円でしか買えない消費者に、8千円の価格で提供すること――。すなわち、市場価格の歪みを、自らの強みに転換したこと。ここに、ネット販売業者のすぐれた戦術がありました。

市場価格とは一つではありません。それは、実際の世界においては市場の数だけ存在し、それが誰かの稼ぐタネになっているのです。

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