4章・(8)-1 経済の段階によって売れるものは変化する

キーワード「農業」「製造業」「サービス業」「金融業」「つながる幸せ」

 

・「いつかはクラウン」の時代のおわり

 

不況とはどういう状況を指すのでしょうか。それは、これまで見てきたとおり、「モノが売れない」ことです。モノが売れなければ会社の成績も悪くなり、そこで働く社員たちの給料も下がります。多くの人たちの悩みは、モノが売れないということです。では、なぜモノが売れなくなっていくのでしょうか。

それは、一言でいうと「ほしいものがない」からです。かつては「いつかはクラウン」という言葉がありました。クラウンとは高級車の代名詞です。現在は普通車に乗っている。だけど、豊かになれば、将来は高級車を買いたい。そんな庶民の願いを表現した言葉でした。でも、いまでは若者がクルマ自体をほしがりません。「いつかはクラウン」どころか、クルマ自体への興味をなくしてしまったのでした。

経済の段階はいくつか存在します。

  • 第一段階:農業など、「食うもの」が欲される段階
  • 第二段階:製造業など、「暮らしを豊かにするモノ」が欲される段階
  • 第三段階:金融業やサービス業、情報産業など、「ワンランク上の豊かさを実現する付加価値」が欲される段階

アメリカなどでは、もはや製造業は斜陽産業です。そこから、サービス業やIT産業に舵をとったことはご存知でしょう。もうアメリカの経済界を代表するのは、かつて「ビッグ3」と呼ばれた自動車会社ではなく、GoogleやAppleなどのIT・情報産業です。

モノづくりは、もちろん国の礎となるものであり、大切なことであることは否定しません。ただ、モノづくりは人々のある側面(=物質的な側面)を豊かにするだけであり、絶対的なものではないことは失念しないほうがよいでしょう。

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