4章・(7)-2 不況のとき、政府は何をするのだろう?

・金融政策とは何だろうか?

 

ここで金融政策について、少し説明を加えましょう。金融政策とは、民間銀行への貸付金利(公定歩合)操作のことだといいました。たとえば、現在の公定歩合が3%だとします。すると、銀行は3%の金利を支払う必要がありますから、そのお金を民間の会社に貸すときは5~6%で貸付けるわけです。その差額が銀行員の給料になったり、貸した先の会社が倒産したときの保証金になったりします。

ここで、日本銀行が公定歩合を1%に変更したとしましょう。すると、銀行は民間の会社に貸付ける率を3~4%に引き下げることができます。すると、会社にしてみれば、5~6%の時代よりも、3~4%のほうが借りやすいですから、これまでよりも借入により積極的な投資を行うというわけです。これまで見てきたとおり、もし金利が3%だったとしても、その投資により毎年それ以上の儲けが出るのであれば、お金を借りて投資しない理由はないからです。

さて、あなたはどこかで「現在の公定歩合が0%」だと聞いたことがあるかもしれません。俗に言う「ゼロ金利」とはこのことです。日本銀行は異常なほどの低い金利で景気高揚策を講じ続けています。それでも借り手がいない、というのが日本の現状です。どれほど状況が悪化しているのかがわかるかもしれません。

これまで公共投資によってばんばんお金をばらまく財政政策は無意味で、金融政策こそが有効であると論じられていた時代もありました。財政政策は古臭いイメージもあったのでしょう。しかし、ゼロ金利が進み、これ以上の金融政策が行き詰まりになったいま、財政政策も注目されるべきです。もちろん、金融政策とは公定歩合操作だけではありません。ただ、「バラ撒き」と批判されていた財政政策も、ある一定の意味があると再評価されるべきものです。

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