4-(1)-2 新規サプライヤーの発掘「私の経験」
「中国から買ってこい!!」
このセリフが口癖になっていた上司を持ったことがあります。
コストの報告会の際、「この製品はいくらになりそうです」と言った瞬間に、「なんでそんなに高いんだ」と必ず指摘されるのです。
そして、おそらくどこかの新聞で読んだと思われる有名企業の中国調達の記事を思い出しては「中国からの調達を加速させよ」と繰り返すのです。
もちろん、ほとんど思いつきのレベルでした。
類似製品が本当に中国から買えるのか?もし買えたとしても品質は安定しているのか?そもそも安いのか?
などといった当然の疑問さえも受け入れる気すらなく、「中国から買ってこい」と叫ぶばかりでした。
「それはひどい」と思われた方が多くおられるでしょうが、私は別の感想を持っていました。この上司がひどいのではなく、「中国から買えば安い」という幻想のようなものが皆に浸透しているのだな、と。この上司は、その幻想の縮図ではないか、とも。
もちろん、中国から買ったら安いものはたくさんあると思います。しかし、「中国から買ったら何でも安くなる」という考えは間違いであり、その当時(そして現在でも)中国に新規サプライヤーを求めるバイヤーがたくさんいましたが、そのほとんどは上手くいかず、失敗を繰り返していました。