4章・(6)-1 円高、円安と商売の関係
キーワード「円高」「円安」「輸入」「輸出」
・円高と円安とは何なのか
ここで、ニュースでよく聞く「円高」「円安」という話をします。ある人は「円高」というものを悪者のように扱い、ある人は「円安」を狂喜の源泉かのように叫ぶ。この「安い」とか「高い」とは何でしょうか。
- 円高……世界中のひとたちが円を欲しがり、円が人気になること。円の価値があがる。
- 円安……世界中のひとたちが円をいやがり、円が不人気になること。円の価値がさがる。
こんな簡単なことです。たとえば、円とドルの二つの通貨だけだったとします。1ドルを買うためには、100円が必要です。そのとき数式は、1ドル=100円が成り立ちます。
ただ、もしアメリカが不安定な情勢になったらどうなるでしょう。考えにくいものの、アメリカが戦争で負けてつぶれそうだとか、経済危機で国家破綻になりそうだとか。そんなことが起きたとします。すると、みんなドルを持っておきたくないですよね。安全な円を保有しておきたいはずです。ドルを持っていても紙くずになる可能性があるのですから。
すると、1ドルを持っている人は、100円と交換してくれなくてもいいから、円を持ちたがります。95円でもいい、90円でもいい。円と交換してくれ、というわけです。その結果、円の相対的な価値は高まり、80円で売買が成立しました。そのとき数式は、1ドル=80円が成り立ちます。
- <円安状態>1ドル=100円 ←→ <円高状態>1ドル=80円
すなわち、日本という国が高く評価されることが円高であり、円安はその逆なわけです。円高が悪い、という報道だけ聞いていたイメージが少しは変わったでしょうか。