4-(8)-4 調達リスクの管理「雑感」
ファイナンス理論を学ばれた方はご存知の通り、リスクを回避すればするほど安全率は高まり、同時に利益も減少してゆきます。株式を一点集中するよりも、市場に分散させた方が暴落時の損害が少ない代わりに利益も少なくなるということは少し考えれば分かるでしょう。
よってリスク対策をすればするほど、利益という観点から見れば「つまらない」ものになってしまいます。どこまでリスクを許容できるかは企業により、バイヤーにより異なってくるでしょう。
企業によっては精度の良い「為替予測」を社内配布しているところもあります。
最も良いのは、バイヤー個人の予想とするのではなく、為替の推移展望を社内で固定してしまうことです。何年後の為替相場はこうなる、という展望を社内で固定してしまうわけです。各バイヤーはそれに従って機械的に計算して海外調達するべきかを考えます。
この方法で重要なのは、実際の支払い時に生じた差異をバイヤーの責任に帰さないことです。1ドル=100円と予想していたが、実際は1ドル=110円になってしまっても、その10円分は機械的に処理する仕組み。もちろん、実際は1ドル=90円になったとしても評価の対象としません。
こうすれば、バイヤーに為替評価の責任を取らせることなく、メリットの吟味を十分にさせることができますし、何より毎朝新聞の為替欄を読んで精神的に困憊する事がなくなります。