2章・(6)-2 損益分岐点とは何か?

・固定費はあぶない儲けの香り

 

じゃあ、固定費も変動費も下げたらいいじゃないか。そう感じた人がいるかもしれません。さまざまなタイプの会社があります。ただ、ここでは基本的タイプをお話します。

  • 固定費が高いと、変動費率が低くなる(固定費型の会社)……損益分岐点は高いものの、それ以上の売上げになると利益はあがる
  • 固定費が低いと、変動費率が高くなる(変動費型の会社)……損益分岐点は低いものの、それを超えても利益は徐々に増えていく

鉄鋼会社のようなところがありますね。典型的な1.のタイプです。高炉などの重設備はたいへん高額、つまり固定費は高い。損益分岐点も結構な高さになります。だけど、高額だけあって効率的です。大量生産には向いていますから変動費率は下がります。

あるいは個人の雑貨輸入業者。もちろん一人で仕事をするので、固定費は低いでしょう。損益分岐点は低いところにあります。でも、大量の仕事はさばききれませんよね。それに仕入れて売るだけであれば、あまり付加価値がありませんから変動費率も高くなります。

このように、「固定費型の会社」が良いとも、「変動費型の会社」が良いとも一概にはいえません。商売の形式にもよりますし、その人の趣味の問題もあります。ただ、日本の伝統的な企業は「固定費型の会社」を目指して設備投資を繰り返してきました。社員の大量採用も同じことです。

売上げが好調なときにはそれは正解でした。しかし、売上げが不安定なときには、それが必ずしも正解ではありません。「変動費型の会社」のほうが、柔軟に対応できるからです。

今日もあなたが見たかもしれない、赤字会社の背中には、無数の固定費たちがのしかかっているかもしれません。そう思うと、ニュースがちょっとだけ面白くなります。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

 

あわせて読みたい