2章・(7)-1 利益を得るために考えなくてはならないこと

キーワード「損益分岐点比率」「固定費の削減」「変動費の削減」「仕入れ費」

 

・強そうな大企業のほんとうのもろさ

 

お金持ちであることを見せびらかしてテレビに映る人たち。私はその豪奢ぶりにいつも違和感を抱いてきました。ある種の「下品さ」がどうもスキになれなかったからです。ただ、あるとき雑誌の編集者から「○○さんは、実は金持ちであるキャラを演じているだけで、ほんとうは質素な生活なのですよ」と教えられました。なるほど、私は表面上の「金持ち遊戯」を見抜けなかったというわけです。

会社は損益分岐点を超えれば黒字になる。ということは、利益を得るために考えることは、まずその損益分岐点以上の売上げをあげれば良いことになります。そこで、一つの指標を導入してみましょう。「損益分岐点比率」というものです。

  • 損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷実際の売上高

この結果が90%だったとしますよね。それは、あと10%の売上げが下がったとしても、ギリギリ収支トントンになるということです。上場している企業でも、この損益分岐点比率が70~90%であるところは珍しくありません。最近、売上げが2割下がったら、大幅な赤字になってしまうところがあります。「たった2割だけなのに」と思うかもしれません。でも、もともと損益分岐点比率が非常に高いところにある会社は、恐ろしい打撃を被ってしまいます。

そういう利益構造になっている前提で、どのように改善していけばよいでしょうか。費用には固定費と変動費があるという話をしました。具体的にどうすれば利益を確保・拡大できるでしょうか。最近、会社やニュースで聞いたことを思い出してみてください。

  • 固定費の削減……社員の給料をカットする、余剰人員の整理、営業所等の統廃合、宣伝広告費の抑制、等々
  • 変動費の削減……使用材料量・使用部品量の削減、材料費・部品費のコスト低減、等々

「◯万人規模のリストラを実施」という新聞の見出しをみたことがあるかもしれません。あれは、固定費の削減です。また、「調達費を○○◯億円削減」という見出しもあります。あれは、変動費の削減です。両方にともなんとか損益分岐点を引き下げて、黒字にしていこうとする強い意思が共通しています。

大企業に勤めていると、会社が潰れてしまう、ということは想像もできません。ただ、一人ひとりの社員が無意識であっても、実は大企業とはいえ損益分岐点比率は大変高い位置にあることが多く、経営者たちは日々必死な努力を促しているのです。

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