1章・(4)-1 商品の値段はどうやって決まるのか
キーワード「原価主義」「非原価主義」「需要曲線」「供給曲線」「PSM分析」
・売りたい価格と買いたい価格
さきほど、「安く売る」「高く売る」といったときに、一つの疑問が浮かんだかもしれません。安くといっても、すべての商品を1円で販売することはできないでしょう。また、どんなに美味しいパンでも100万円であれば、誰も買ってはくれません。
価格の決め方には二通りあります。「原価主義」と「非原価主義」というものです。前者は、その商品にかかっているコストを積み上げて、利益を上乗せし、販売価格を決定するやり方。後者は、逆にお客が買ってくれる価格から逆算して、それにかけることのできるコストを決め、なんとかその範囲でやりくりするやり方です。これは会社によって方針が異なりますから、自社の方法がどちらかを確認してみましょう。
まず、需要曲線は価格が高いと量が少なく、価格が安いと量は増えていくものです。これは直感的に理解できますよね。高いと欲しがる人は少なく、安いと欲しがる人も増えていきます。
供給曲線は逆の傾きです。価格が高いと量が多く、価格が安いと量が減っていきます。高い価格で売れるのであれば、供給したがる人たちは多く、安い金額でしか売れないのであれば、供給したがる人は少ないですからね。
市場の価格とは、この二つの曲線の交点で決まることになります。需要者と供給者がちょうど折り合う価格。これが市場価格と呼ばれるものです。市場を独占している供給者であれば価格を自在に決めることができます。ただ、世の中の多くの企業や商品は競争にさらされており、需要に影響されながら価格を決定します。「原価主義」であれ「非原価主義」であれ、市場を見ながら販売価格を決定するわけです。