4章・(10)-2 ボトム・オブ・ピラミッドという新たな市場

・ぼくらの新たな活路とは

 

BOPは巨大な市場として存在することがわかりました。たとえば、自動車の領域ではインドが有名です。エアバックやドアミラーも装備していないクルマであっても、インドでは販売することができます。これならば、インド国内での生産もじゅうぶん可能です。先進国から仕事を奪って稼いだ給料を、さらに国内生産の商品を消費することによって、さらに市場と景気を拡大し続けています。

これまで「生産を代行してくれる人たち」として見ていた途上国の国民が、あるときから「消費もしてくれる人たち」に変換しました。シャンプーなどの消費財(や自動車などのぜいたく品)をはじめとして、冷凍室のついていない安価な冷蔵庫など、その広がりは多様です。

かつて、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれていた時期がありました。日本人の造る商品と、お金が世界中を席巻するというわけです。しかし、そんな時代も何十年も続きませんでした。その日本の強さは、安価な商品を、世界で最も品質良く造ることにあった――、というのは現在の中国やインドが巨大な勢力を持っている構造と、ほぼ同じです。経済はグローバル化すると同時に、途上国に富をもたらします。そして、それはやがて誰も止められないほどの力を持つのです。

もちろん、それは中国やインドであっても、さらに違う国々に取って替られるという未来を予想するものでもあります。先行して豊かになった国は、そのBOPを探して、新たな活路を見いだすことになるでしょう。

底辺が、いつかしら頂上を揺るがす勢力となる。これは政治であれ経済であれ、いつの時代にもあてはまることなのです。

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