4-(2)-3 RFxの提示「RFxの重要性とは?」
バイヤーに必要な能力として、「交渉力」が強調されることがあります。もちろん、私も必要だとは思いますが、これまではその必要性があまりに注目されすぎていたのではないでしょうか。
極端に言ってしまえば、交渉が必要な場合とはバイヤーがRFxをおろそかにしていたときではないか。
正確な情報をつかみ、正しい取引条件を提示し、それに合意したサプライヤーが見積りを提出し、その金額で発注書を発行する。このプロセスが正しく行われていれば、何も相手に無理を要求することはありません。
「そんなこと聞いてない」「そんなつもりじゃなかった」「当初の話と違う」。このような発言をバイヤー・サプライヤー双方から聞くことがありますが、ほとんどの場合RFxが不完全か曖昧なまま両社が進めてきた結果であることがほとんどです。
もちろん、要件の調整で交渉は必要でしょうし、発注決定前に目標コストに達しない場合も交渉が必要となるでしょう。しかし、それらの場合、交渉は比較的安易であるはずです。
ですから、私は「交渉力」という章を設けていません。RFxをしっかりする方がはるかに大切です。
RFxの内容については、担当する領域に応じて多岐に渡るため、一般化することは困難です。ただし、よくバイヤーがはまる落とし穴があります。下記については明確化する必要がありまし、サプライヤーからも明確化してもらう必要があります。
(1) どのくらいの発注数を見込んでいるか。そして、一回の発注単位はどれくらいか。もし、その発注数以上・以下になったら価格は変化するか(させるか)。
(2) 見積りの価格以外に発生する費用はないか。保守が必要になった場合、多額の請求をすることはないか。
(3) 製品が突如生産中止になることはないか。あるいは、市場環境変化(商品ライフサイクルの終了、為替変動、材料高騰)時に価格はどう変化するか(させるか)。
(4) 目標価格はいくらか。また、こちらの提示条件に満たせないところはないか。
などなど。これらは通常「触れたくない」話題の一つですが、そういうことこそ曖昧にしてはいけません。
また、自分で経験していないことも周囲のバイヤーに失敗例を聞いて回れば、ノウハウ集ができあがるはずです。これまで多くのバイヤーがRFxで失敗していますから、各製品領域に固有のノウハウがたくさん挙がると思います。