4章・(2)-2「フリー」経済へと向かいつつある現在
・無料化の波を利用したアーティストたち
ところで、最近あなたがCDショップで買物をしたのはいつでしょうか。いつだったか思い出せない人もいるはずです。これは薦められる行為ではありませんが、楽曲が単なるパソコンデータになってしまった今日では、友人間で交換している人もいます。「着うた」などの有料サービスはあるものの、かなり多くの人にとってもはや楽曲はかつてほど買う対象ではなくなったようです。
最近では、アーティストのなかで、ネットで曲を無料公開している人もいます。無料で曲を提供し、コンサートに来てもらったりグッズを買ってもらったりしようとする試みです。ただ、考えれば、良くない曲を提供しているアーティストのコンサートに行ってみようという気にはなりませんよね。ここには、曲の良さという一点が確保されているべきです。
アーティストたちは、もう曲を無料で提供して、それ以外で稼ぐというビジネスモデルに移行しています。もちろん、曲が売れることは望ましいことです。しかし、曲を売っていた時代は、当然その曲を聞くことができるのは、買った人たちに限られます。アーティストたちは、曲を無料で提供することにより、客層を広めようとする試みを開始したわけです。特に海外のアーティストたちは、無料でもたくさんの人たちに聞いてもらうことで、チケットやグッズを含む全体としての利益向上を考えだしました。ホームページで曲を無料公開している人たちもたくさんいます。
無料化は、あなたの保有するiPodのなかに収められた無数の曲たちが何よりも物語っているのです。