調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(2)-11
1)他部品との兼ね合い
今回の震災発生後ほど「サプライチェーン」という言葉が新聞・マスコミ誌上を賑わせたことはありません。サプライチェーンの効率化追求による過度な在庫削減の結果、日本のみならず、主要工業国を巻き込んだグローバルサプライチェーンが大きく混乱しました。一方で、直接的な被害と計画停電による影響をまぬがれた地域では、工場の稼働状況が企業毎に大きく異なっていました。震災発生直後から工場の稼働停止を決定した企業がある反面、平常通り稼働を続けた企業もあったのです。
生産に必要な部品の在庫は、通常数日から1~2週間分しか確保していないはずでした。ところが実際には、一次、二次のサプライヤーと流通在庫まで含めると約一ヶ月分の在庫があったわけです。このように、サプライチェーンのほんとうの姿が徐々に明らかになったのです。震災後、調達・購買部門が日々の生産を繋ぐためにもっとも危機感を覚えたのは震災から一ヶ月時点でした。この時期、在庫が尽きるかもしれない恐怖と同時に、もう一つ悩ましい問題が生まれていました。