調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(2)-12

自動車産業の場合は、自動車一台当たり約3万点ともいわれる構成部品を同じタイミングで納入させ組み立てることで、毎日の生産を行なっています。他の産業でも、部品点数の差はあっても同じ仕組みです。震災発生後、早期に復旧し生産再開を果たしたサプライヤーは、顧客への納入が可能となります。一方で、生産再開できないサプライヤーが数多く存在していました。どんな企業でも、必要な構成部品の一つが欠けても最終製品は完成できません。

震災後、生産復旧に要する時間は、被災度合いによって異なっていました。バイヤーは情報提供をサプライヤーへ求め、生産復旧への見通しを確認し続けてきました。ところが、納入が遅れている部品によって、すでに復旧したサプライヤーからの納入を受入れるのか、それとも他の部品との兼ね合いで止めるのかとの新たな問題が浮上したのです。サプライヤーにしてみれば、復旧を果たしたのだから、早々に納入も再開したいはずですね。一方で、部品が一つでも不足していれば生産再開できないバイヤー企業側は、なるべく在庫を増やしたくないわけです。

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