調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(2)-13
震災発生後にいつ復旧するのかを模索し続けたバイヤーは、一転して納入停止か否かの検討を余儀なくされました。サプライヤーも、一刻も早い復旧そして納入再開に全力を傾けてきました。そんなサプライヤーの努力を無にせず、他部品との兼ね合いを図るために、バイヤーには二つのアクションが必要です。
一つ目は、復旧し納入再開が可能となったサプライヤーへの対応です。震災発生後バイヤーは、サプライヤーの被害、そして復旧状況を確認していますね。自社のサプライヤー全体の状況を踏まえ、的確な納入再開時期の見通しを各サプライヤーへ伝えます。状況に大きな変更が発生した場合は、一度決定した納入再開日を遅らせる内容であっても、正直に伝えます。これは、一刻も早い納入再開へと邁進するサプライヤーの復旧活動に水を差しかねません。
そして、これまで構築してきた良好なリレーションを損なう可能性もあります。生産が再開したサプライヤーから順次納品を受け入れることができれば、在庫負担をバイヤー企業側で負うのであれば連絡は不要です。見通しの立たない在庫を無尽蔵に受入れることなどできませんね。だからこそ、実はそんなに早く納入再開しなくてもよくなったという情報は一刻も早く伝え、善後策を共同して検討しましょう。他部品との兼ね合いを踏まえた納入再開時期の連絡とその後の対応策は、自社を起点としたサプライチェーンを俯瞰できるバイヤーだからこそできることなのです。サプライヤーにとっても、そしてリレーションの維持にも貴重欠かすことのできないバイヤーの重要な仕事なのです。