調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 1章(3)-13

日銀は震災発生翌週の3月14日~18日間で短期金融市場に82兆円もの資金供給をおこなっています。まず金融機関に必要な資金を確保させ、混乱をおこさせないことが狙いです。しかし、その先の実体経済で資金を回してゆくためには、震災影響を受けつつも期日通りに支払いを確実に行なうことが重要なのです。

バイヤーとしてはどうしても「3.原材料調達の目処がたたない」部分へフォーカスをしてしまいますね。しかし、裏を返せば「2.受注の見通しが立たない」も、バイヤーにとってはサプライヤーへ提供すべき重要な情報として忘れてはなりません。なぜ情報収集を行なうのか。回答は「企業活動を再開させるため」ですね。先に言及したレポートでは、先々の見通しが立たずに企業継続を断念する例も多く見られました。生産の可否だけでなく、可能となった暁の具体的な仕事量を明示すること、そのような情報提供もバイヤーに課せられた責務です。情報の確実性をサプライヤーに求めるばかりでなく、自社の見通しを一刻も早く伝える必要もあるのです。企業運営を再開させるためには、サプライヤーと復旧後の姿を共有することも不可欠なのです。

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