調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(3)-8
(3) 震災被害からの復旧、そして復興へ
【解説】
震災発生後、本格的な復旧を目指す活動は、電力の供給制限という大きなハンデを背負っての前進を余儀なくされています。
サプライチェーンを正常に稼働させるにも、電力は不可欠なリソースです。省エネルギー技術世界一といわれる技術を駆使して、エネルギー消費を抑えつつ、経済成長を実現した日本。しかし現在の日本では多くの企業の場合、電源を確保する手段が、実質的に一つしかありません。安定供給によって満足し、他のリソースを求めようがなかった電力は、需用家である私たちに、発電・送電の詳細な仕組や、各機器の消費量に関する知識がほとんど無いのが現状です。そこで、電力消費を削減する方法や、省エネを実現する新規設備導入の情報収集をおこなって、社内へ周知する。そのことで、電力使用量15%削減を達成すると共に、将来の電力自由化に備えて、ノウハウの習得を開始しましょう。震災後のほんとうの平常化への第一歩となるはずなのです。
これからの事業運営を考える上で、東日本大震災が再び襲ったらとの前提は、我々に突きつけられ、サプライヤーへ突きつけてゆく課題です。いうなれば、震災に強いものづくりの実現とデュアル・マルチソース化へ同時に取り組んでゆかなければなりません。グローバルマーケットでの価格競争は進行しています。デュアル・マルチソース化をコストアップ無く実現させることが日本のバイヤーに求められているのです。