調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(3)-9

1)ほんとうの平常化とは

東日本大震災による被害の中で、産業界に大きなインパクトを与えた福島第一原子力発電所の事故。首都圏に立地する大規模な火力発電所も、地震発生と共に緊急停止していました。そして震災発生から3日後の3月14日より計画停電が行なわれ、東京23区をのぞく首都圏一帯に一日当たり数時間、電力供給がストップすることになったわけです。計画停電自体は、暖房需要が少なくなった4月8日で一旦行なわれなくなりました。しかし、首都圏の企業は、夏場のもっとも電力が使用される時期へ向けて節電対策を強いられることになったわけです。

震災発生後、本格的な復旧を目指す活動は、電力の供給制限という大きなハンデを背負って進むことを余儀なくされています。4月8日までは電力が使えない時間を抱えながら、そして4月9日以降は夏場の電力消費量削減を検討しつつおこなわざるをえなかったのです。東日本大震災による影響といっても、この電力消費量削減は、後の中部電力の浜岡原子力発電所の停止や、一年稼働した後に行なわれる定期検査後の再稼働を危惧する声と共に、関西、九州へと広がってゆきました。まさに全国規模での電力不足の様相を呈しています。

この「電力不足」との課題を、バイヤー的な視点で捉えてみます。震災発生前と同じ活動を行なうために、電力消費量を制限する。これは、機能を変えることなくコストを削減するVE活動で語られるセオリーと全く同じからくりです。震災からの復旧・復興に、電力不足が大きな足かせになるといわれています。では、この電力不足をどのように乗り切って、震災からの復興を成し遂げるべきでしょうか。

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