調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 1章(3)-5

もちろんいっぽうで、組織的な対策を講じた企業も多々あった。神野の企業が行なったのは、代替品への早期切り替え調整だった。具体的には、代替品選定に関わる切り替え試験を簡素化した。それができたのも、顧客と合同のワーキンググループを組織したからだ。それを支えるために、調達部門でも承認フローを特別化し、専任者がフォローを行った。

とくに担当者に力強かったのは、材料確保にトップがすぐに動いてくれたことだ。もちろん、担当者も材料確保に動くことは必要だろう。しかし、このようなときにトップが動くことで調達がスムーズになるのであれば、力に頼るのも悪くはない、と神野は思った。

3月22日。このころ、東北震災の影響が、海外に顕在化していた。冒頭で述べた米ゼネラル・モーターズは、日本からの部品調達が難しくなったため、米ルイジアナ州の工場を停止。欧州の2工場でも一時すると発表した。日本の自動車メーカーも同様で、それまで現地調達比率を引き上げてきたものの、現地生産における基幹部品の多くは、まだ日本からの調達に頼っていた。国内大手自動車メーカーの海外子会社の生産縮小がさかんに報じられていた。

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