3-(6)-2 サプライヤー「協力会」<協力会の是非>

金融機関すら護送船団方式と決別を余儀なくされた現在、サプライヤー協力会という任意団体がそもそも必要なのかという議論があります。かつては、系列崩壊と言われより自由でオープンな取引関係の模索が行われていました。それで上手くいったところもあります。逆に、協力会や系列との取引を崩したことで後々に大きな禍根を残してしまったところもあります。

協力会・系列に関しては様々な研究がなされていますが、一言で説明するならば「サプライヤーの協力で成り立っているような産業では一般的に協力会・系列取引が有効だ」ということになります。冒頭で説明した自動車産業のように、開発段階からサプライヤーの力を借り、納入にいたっては生産を同期化させたJIT(Just In Time)を要求する場合は協力会・系列は有効だというわけですね。

自動車産業以外はどうでしょうか。バイヤー企業やサプライヤーの置かれた経済・景気状況もあるため一概に是非を問うことはできないのが本音のところで、いくつかの論文を見ても、「協力会・系列が良い影響をもたらすときもあれば、悪い影響をもたらすときもある」というに留まっています。

これはサプライヤー戦略にも通じるのですが、そのサプライヤーとの関係によって、求心力を高め密な取引を行うかドライな取引に徹するかが決定します。

上記の説明では大企業の説明になっていたかもしれません。一方で、地場産業と付き合いの深いバイヤーもいます。地域社会への貢献という必要性から、定期的にトップ同士の情報交換を実施しているところもあります。また、市況によってモノの確保が困難な製品を扱うサプライヤーに対しても定期的に情報交換会を行っている場合もあります。

自社の長期的なロードマップを考慮し、発注側として最適なサプライヤーとの関係を構築してゆくことが大切です。

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