調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(1)-15

二つ目のアクションは「待てない」となった状況を想定します。ボトルネックとなったサプライヤーの復旧には相当な時間を要する。代替ソースからの供給を受けなければならない。そんな時、バイヤーはどうすべきか。これは、供給再開を望む社内の声を利用します。過去に検討して採用へと至らなかったサプライヤーの再検討や、新規サプライヤーの採用へと話を進めるのです。通常時でも新しいリソースの採用には、いろいろなハードルがありますね。

このタイミングで、過去には決してあり得なかった分野での海外調達にトライしても良いですね。代替ソースを確立するためには、スピードが欠かせません。社内調整や稟議に時間をかけてしまえば、競合他社に先んじられます。バイヤーの希望通りにサプライヤーが待ってはくれません。そんな事を理由にして、「買ってこい」との社内からの声と同じかそれ以上に社内関連部門へ声をあげましょう。新規サプライヤー採用への、スピード感を持った全般的な協力を求めましょう。期間限定でタスクフォースを設定することも良いアイデアです。ここでは、調達・購買が主導して、社内を新規サプライヤーの立ち上げに向け一つにまとめるのです。

その上で、普段できないであろうアイデアも検討するのです。専用品の汎用品への変更とか、仕様の簡素化、製造方法の変更等、聖域をもうけずにあらゆる検討をする。しかも短時間にやり遂げるのです。漫然と既存サプライヤーを待つには、社内のプレッシャーが大きすぎる。調達・購買へと向けられたプレッシャーを、別の方向へと発散させるのです。それで、従来であれば難しかったサプライヤーの開拓に、それも短時間に成功するかもしれません。これを主導し、成功へと導けるのはバイヤーだけなのです。

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