調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(2)-6

ここに一つのギャップがあった。調達・購買の世界に身を置いている人たちは、物流を普段気にすることはない。調達・購買と物流は別物なのだ。製品特性によって異なるものの、製品コストのうち物流費は3%から5%程度にすぎない。端的にいえば、バイヤーが製品の物流費を気にすることはないし、物流の知識もない。

4月末から、5月の頭にかけて坂口の元にも、各メディアから震災によって寸断したサプライチェーンの復興について取材させてくれと依頼が相次いでいた。メディアがサプライチェーン復興というとき、そのほとんどは物流網の再構築のことを指していた。残念ながら、調達・購買担当者が、その意味でのサプライチェーン復興を手がけることはない。企業の物流部門や物流子会社が担う。調達・購買担当者の使命はQCDの確保だといいながら、D(納期)について実態はサプライヤーに対して催促するくらいしかやっていない。しかし、現状で良いということにはならない。坂口は、四宮と同じく、これからの調達・購買担当者には、物流の基本知識と物流網の構築が必須とされるだろう、と思った。これも、震災が教えてくれた教訓の一つだ。

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