調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(2)-5

四国香川県で働く四宮も物流網の解明に尽力した一人だ。「物流状況情報について」と題する物流会社からの情報を入手してはすぐに社内に展開した。この情報には、各物流会社の東北への物流情報が書かれていた。パワーポイントで作られたこの情報では、赤色(配送不可)、緑色(配送可能)、オレンジ色(一部配送不可)となっていた。そのしばし前、四宮は企業活動の一環として、四国で調達した救援物資を送り出した。物資の輸送を担当したのは、有名な物流会社だった。行き先はいわき市。出荷の連絡から1時間ぐらいで連絡があった。

「会社としていわき行きを受け付けないという決定をしたため、車輌は鳴門で停止した」。物資を待つ人がいるにもかかわらず、非情な判断だった。関東地区での一時集積所の確保を本社に依頼し、運転手には関東を目指すよう指示したものの、四宮は無念で仕方なかった。その後、一時集積所で物資は積み替えられ、別の運送業者が走ってくれ物資は無事到着することになった。ただし、今後は物流が大きなテーマになることは間違いなかった。緊急時に物流の代替策をどう考えればいいのか。四宮は赤色で塗りつぶされた東北地図を見て、これから調達・購買に求められる古くて新しい「物流」について思いを巡らせていた。

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