調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(2)-4

既存品も価格がどんどんあがっている。高価格か、あるいは結論の見えない代替品か。倉布は、牧野と同じく、自分の判断で高騰した商品に次々とオーダーを出していった。自分の責任において、という腹の括りが、この危機の前に役立つせいぜいのことだった。

ただ、修羅場で、誰が役に立ち、誰が役に立たなかったか、逃げたか。倉布はちゃんと見ていた。このような状況下では、隠れていた問題がいっぺんに出てくる。これはある意味、良い機会だ、と倉布は思った。

二つ目(「物流網の再構築」)。サプライヤーの生産復旧と自社のラインをつなぐために、先手を打った企業もあった。ガソリン不足や原発の問題が浮上するなか、西城の企業には、稼動を再開させた一次サプライヤーから輸送手段が確保できないとの情報が入っていた。西城は管理職間で討議し、関西から長野までの大型輸送と長野から被災地域(福島)への小型輸送を実施しはじめた。長野を物流基地にし、細い導線で被災地を結ぶ物流網を構築し、部品の輸送を行った。また部品引取りにあわせて、会社で保有していた水・食料の備蓄品を持ち込んだ。

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