調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(2)-10

(2)不完全なサプライヤー生産ライン復旧のなかでの納期調整

【解説】

今回の震災発生によって、日本のみならず主要工業国を巻き込んだグローバルサプライチェーンが大きく混乱しました。震災後、調達・購買部門が日々の生産を繋ぐためにもっとも危機感を覚えたのは、在庫が失われる震災から一ヶ月時点。その頃にもう一つ悩ましい問題が生まれていました。

どんな企業でも必要な構成部品の一つが欠けても最終製品は完成できません。すでに復旧したサプライヤーからの納入を受入れるのか、それとも他の部品との兼ね合いで止めるのかとの新たな問題が浮上したのです。バイヤーには復旧し納入再開が可能となったサプライヤーへの対応、そして復旧の見通しがたたないサプライヤーへの対応という、相反する二つのアクションを同時に行なうことが求められました。サプライチェーンを復旧させるためには、調達・購買部門だけでなく、全社としての取り組みの必要性を主張することもバイヤーの重要な責務となっていました。

バイヤーが震災直後という非常時におこなった意思決定と現状との整合性をチェックする必要もありました。これも震災直後の初動と同じく、的確なタイミングでかつ素早くできるかどうかが大きな課題です。そのような修正活動ともよべる動きが、震災後という特異な状況からの脱却には必要なのです

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