調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 1章(1)-3

地震の揺れがあまりにひどく狼狽するいっぽう、東京・千代田区のオフィスで勤務していた小松秀人が気になったことは何よりも同僚の安否だった。小松は地震後に、まず同僚がケガをしていないかを確認した。そして、すぐさまトイレに駆け込み、閉じ込められている人がいないかを確認。またエレベーターも同様に調査した。

埼玉県のオフィスで勤務していた日高浩文は、先輩バイヤーたちの冷静沈着を目にした。あるバイヤーは揺れがおさまると大声を上げて、商談室のなかにいたサプライヤー営業マン等の関係者を誘導しだした。「こちらから避難してください」。日高は、落ち着きと心配りとは、このようなときに表出するのではないか、と思った。東京のオフィスで働いていた稲葉浩志は地震直後からドアに走り、ドアを押さえて開け続けていた。災害時にはドアを開けておくことで避難経路を確保しなければいけないとわかっていたからだ。

同時刻の栃木。とにかく走ってオフィスビルを抜けた浜川がいた。「外に逃げろっていっても、どこに逃げてよいかわからない」と心のなかでつぶやいた。会社の避難訓練で指定されていた場所は、建屋のすぐ横。もう一度余震がくればどうなるかはわからない。同僚の何人かと、駐車場横の広場に走りこんだ。「とにかく何もないところに」。

そのころ、関西では「めまい」と感じるほどの揺れが、同じく襲っていた。関西でただちに大地震だと気づいた人は驚くほど多い。それは情報収集源として日常化したインターネットと無縁ではなかった。

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