調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 1章(1)-2

14時49分。大津波警報が発令された。多くの人びとは、このニュースを聞いた瞬間にはその後の大被害について思いもいたらなかった。人々にとって、この時点での最大の関心事は地震の状況を把握することであり、余震がいつおさまるのかであった。

加賀信は藤沢のオフィスで見積依頼作業中だった。地震直後、外では電信柱が左右に1メートル以上揺れるのを見るとすぐに机の下にうずくまった。加賀はそのとき、緊急用のサイレンがまったく鳴らなかったことをなぜか覚えている。携帯電話がまったくつながらずパソコンだけで情報収集をしながら「これは昨年(2010年)の調達難どころの騒ぎではなくなる」と思わざるをえなかった。しばらくすると、グランドに避難。そして、帰宅指示が出た。自宅に残してきた大正生まれの母のことだけが気がかりだった。

14時50分。津波情報が次々とやってきた。岩手県はすでに津波が押し寄せた後だった。また宮城県は15時ちょうどに、福島県は15時10分に津波が到着する予定だった。ただ、津波警報の対象地以外の多くの人びとは、余震を気にすることが精一杯だった。東京・桜木町のオフィスにいた鮫島活雄はこのとき、沿岸部を眺め、液状化現象が発生していることを確認している。「戦後最大の地震がやってきた」と思った。

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